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映画・テレビ

2010年9月30日 (木)

韓ドラの罠

Shima

韓国映画に興味を持ち、ついには泥濘(ぬかるみ)に誘われるように韓流TVドラマの罠に足を捕られています。

知人のなかで、相方が韓流ドラマにハマりエラい目にあっているご主人を幾人か知っています。

奥さんが、韓国TVドラマの俳優「ヨン様」や「ビョン様」の追っかけになり、あげくの果てに年に数回は韓国旅行に出かけたりで日常生活に支障が出るほど韓流にどっぷり。

子供のいない夫婦だけの家庭に、良くも悪くも多大な影響が出ているとこぼす和風レストランのシェフ。
おかげで韓国料理のレパートリーが増えたようなのですが。

夫婦のコミュニケーションにも影響が出るとグチをこぼすけれど、年に一度は韓国旅行に同行したりと、まんざらでもなさそうな彼らを見て、何なんだろうかなぁ、と日頃から不思議だったのですが・・・。

その僕が、うっかりハマってしまいました。
本人にとんと自覚が無いのですが、女房と娘にいわせると女優シム・ウナのキモ・オタ(キモいオタク)なのだそうです。

既に韓国芸能界を10年も前に引退した女優さんをDVDビデオで追っかけをするというのも、ピント外れな僕ならではということでご愛嬌かとも思うのですが。

伝説の女優といわれるシム・ウナの主演映画、「八月のクリスマス」「美術館の隣の動物園」「カル」「インタビュー」とたて続けに観て、かつて韓国には凄い女優がいたのだと感心したのが事の発端。

その余勢を駆って、シム・ウナ主演の最後のTYドラマ「青春の罠」全24話をTSUTAYAのネットレンタルで借りて一気に観ました。

この長いドラマ、正直いうと主演がシム・ウナでなかったら3話までもいかずに早々にギブアップしただろうと思います。

もの静かで清楚な役どころの彼女が、青春をかけて尽くしたにもかかわらず婚約者に裏切られ、その彼との間に出来た娘も事故で失い、心がボロボロになった彼女が復讐するという俗っぽいストーリー。

韓国のお茶の間で、最終回には50%を超える高視聴率を記録したそうです。確かに役になりきったシム・ウナのメリハリの効いた上手い演技とナチュラルな美貌が際立っていました。

シム・ウナという女優によって、人間が本来持っている優しさや慈悲の心、それが裏切られ暗転した時に見せる復讐心の残酷さ、そして愚かな復讐を後悔する主人公の心情が見事に演じられていると思います。

シム・ウナに感じる凄さは、役になりきれる集中力なのだと思います。この作品のみならず、ほぼ全ての作品において見られる、役づくリに徹する姿勢はまさにプロ意識の塊。(この純粋さが時には誤解され後に芸能界引退に繋がったのかもしれません)

時には可愛く勝ち気な駐車違反取り締まり官に(八月のクリスマス)、時にはがさつなビデオカメラマンに(美術館の隣の動物園)、又ある時には背筋も凍る美貌の猟奇的殺人犯に(カル)。

どう演じても唯一無二のシム・ウナなのですが、役に入りこむと実に違和感が無いのです。例えていうなら上質で万能の白い下地を施したキャンバスという感じ。

淡くて清楚な水彩画でも、こってりと重厚感のある油絵でも、どんなタッチの絵でも見事に再現してみせるような強靭で柔軟な画布という印象です。

Shim


演技派と呼ばれる日本の女優さんでも、様々な役をするけどワンパターンで、それが個性だと勘違いされている方もおられるようですが、そんな女優とは一線を画す才能をお持ちだと感じました。

彼女の映画作品はたったの7本ですが、TVドラマの出演作品は映画よりも少しはボリュームもあって多彩なようです。
「白夜」「M」などまだまだ仕掛けられた「韓ドラの罠」に自らハマっていきそうな予感。

2010年8月31日 (火)

八月の贈り物

Shimaa

猛暑の夜は「八月のクリスマス」「カル」「インタビュー」とたて続けに韓国映画のビデオ鑑賞で暑気払い。

前回のブログに書いた「美術館の隣の動物園」がきっかけで、シム・ウナの他の作品がど〜しても観たかったので、TSUTAYAのネット・レンタルを利用して観ました。

新作や準新作以外の、ややマイナーな映画作品などは直接ショップで探すより(ない場合もあって)オンラインで検索してそのアクションでレンタルするのが手っ取り早いのです。

先ず1本目「八月のクリスマス」
これは、韓国恋愛映画の名作と言われる1998年の作品です。
韓国アクション映画の名作「シュリ」のハン・ソッキュが演じる写真屋のおじさんと、まだ初々しい駐車違反取り締り員役のシム・ウナとの淡くほろ苦い恋物語です。
ラブストーリーとまでは行かないけれども、余命幾ばくもない運命と真摯に向き合うこころ優しいハン・ソッキュと、それを最後まで知らされずに次第に心を寄せて行く勝ち気なシムウナとのやり取りが、ホント、切ないです。

当時の話題作なのですでに見た人は多いはずなので「10年遅れで今頃レビュー?」とバカにされそうですが。
ただ、この辺の韓国映画は、日本の70年代後半を懐かしく思いださせてくれるものがあり、なぜかほんのり心安らぐシーンが随所にあります。背景や持ち物など時代性のずれによる陳腐さも無いので僕らが素直に入っていけます。
シム・ウナの高校生のような無邪気さと、死を余儀なくされたハン・ソッキュの束の間の喜びと苦悩のコントラストが見事に描かれています。ラストの15分間はセリフが全くありませんが、淡々としたそれぞれの心の描写が見事です。
ハッピーエンドではないのに後味爽やかな余韻が残る素敵な映画でした。

Shima

さて、2本目は問題の映画「カル」
これは猟奇的な連続殺人事件を扱ったサイコ・ミステリー映画で、1999年の作品です。主演は同じく「八・クリ」のハン・ソッキュとシム・ウナのコンビ。しかし、これだけ色合いの違う題材の映画を翌年に製作したとは正直驚きです。

シム・ウナが役づくりのために撮影以外は殆ど外出せず、マスメディアの取材や仕事のオファーを殆ど入れなかったため、当時は様々な誤解と憶測を招いたようです。
彼女の真っ直ぐな性格と見事なプロ意識を物語る逸話ですね。

作品自体は冒頭から被害者になった男性の腕を鋭利な刃物で切り取るシーンから始まる異常さ。
本来なら僕はまず観ないジャンルの映画なのですが、シム・ウナの神懸かった演技と美貌に誘われて最後まで観てしまいました。というか、シム・ウナの後を辿るといつの間にか迷宮に脚を踏み入れた感じ。ただ、勘の鈍い僕がこの映画のストーリーを解説するためには後、5、6回は観なければいけない感じで、かなり難儀で面倒臭い映画です。現時点で3回観ましたがまだ良く呑み込めません。

あまり詳しく書くと肝心のところがネタバレになるので書きませんが、当時この映画の真相を探るために、解説・攻略本なども出て、ネットの掲示板ではかなり議論を呼んだそうです。
監督のチャン・ユニョン曰く「映画館で2回、ビデオで4回は観ないとこの映画の真相は見えてこない」という程の超面倒臭い映画なのです。

しかしその面倒臭さを乗り越えてでも、何度も観たいと思わせるのがシム・ウナの美貌と演技力によるものなのでしょうね。


そして3本目は「インタビュー」
結果的にシム・ウナの最後の主演作となった2000年制作の映画です。
作品としての一般評価はイマイチだったようですが、僕は何故かこの作品が一番シム・ウナのナチュラルな横顔を見せてくれているようで好感が持てました。

イ・ジョンジェ演ずる若手映画監督が手持ちのビデオカメラで人々にインタビューをして愛について語らせ、映画を撮るという設定。フィクションと実際の素人さんのインタビューとが混在する特殊なジャンルの映画という感じ。

シム・ウナ演ずる心を閉ざした女性が、偶然にインタビュー撮影隊につかまり、つい虚でインタビューに答えることから物語が展開してゆくというもの。映画監督のイ・ジョンジェは編集のプレビュー画面に写る不思議な魅力のシム・ウナにいつしか魅せられてゆく・・、という前出の「カル」に比べればごくふつ〜のお話。
しかし、シム・ウナの見応えのある本格的な舞踊が観られたり、終盤になるに連れて表情が柔らかくなってゆく過程もごく自然なもので、心に深い傷を負った人間がゆっくり癒されて行く様子をシム・ウナが好演しています。

この最後となる映画に投影されたシム・ウナは、人気女優として、またはひとりの女性としての苦悩をこの映画の主人公のインタビューに代弁させているかのようです。
映画「インタビュー」を撮っているそのさなかにも、彼女は一人の女性として、一人の人間としてこれで良いのか、良かったのかという自らのインタビューにどう答えたら良いのかを模索していたのではないのでしょうか。


この夏に、1997年〜2,000年の間に制作されたシム・ウナのこれらの韓国映画を纏めて観る機会があり、それらは本当に興味深いものでした。
とかく、詮索や取りざたされた突然の引退とその後のシム・ウナの私生活については殆ど興味がありませんが、ほんの短い期間に残されたあのナチュラルな美貌と類い稀な才能は、僕の心の中でこの夏、永遠の贈り物となりました。
(八・クリのエンディング・ナレーション風になってしまいました)

2010年8月14日 (土)

美術館の隣の動物園

大阪の天王寺公園のことではありません。
確かにあの辺りは僕も大好きなエリアではありますが。

最近、なるべく時間をつくって映画を観るようにしています。
出来れば映画館に行って最新作を。

それがなかなか出来ない時は、娘に頼んで週末にビデオを借りて来てもらいます。

今回、娘に借りて来てもらった「美術館の隣の動物園」は、少しばかり前の韓国映画で、韓国映画フアンならよくご存知でしょうが、今は引退して久しい女優シム・ウナ主演のラブコメディーです。

美術館に足の向く女性主人公と、隣りにある動物園のほうに足の向く男性主人公が次第に惹かれ合ってゆくという平凡なハッピーエンドの作品。

評価は分かれると思いますが、僕は立て続けに2回見ました。
当時、新人女性監督イ・ジョンヒャンの程よい思い入れが映像やストーリーに見て取れて好感が持てます。

シム・ウナは才能豊かな女優さんだと感嘆しましたが、既に10年以上も前に韓国映画界から引退していたことを知りさらに驚きました。

Images

とにかく始めからラストまで、ほぼGパンにTシャツのラフな姿で、それもほとんどスッピンの化粧っけのないシム・ウナがかなり良いです。

この映画は相手役の俳優イ・ソンジェもナチュラルな演技で好感が持てますが、どう観てもシム・ウナの魅力でもつ作品という印象が強いです。

彼女は、韓国にも、もちろん日本の女優さんにも無いタイプで、それほど多くない出演作品を見ても底知れない可能性を感じさせるタレントですが、唐突に引退して久しい今となっては伝説的女優という感じ。

インターネットで調べると、現在は政治家の夫と2人の子供の母親で、東洋画家でもあるようですが、公式の場にはほとんど姿を見せていないようです。

過激なメディアと何かと論議かまびすしいかの国において、悪く言う人が少ないのは彼女の生き方や人柄が支持されることの現れかもしれません。

映画鑑賞はともかく難しいこと抜きで面白い。
その国の気質や文化を知るには映画が最も手っ取り早いと思います。
感動を得るにも手軽ですしね。

ただ、贅沢を言うわけではありませんが、先ずはビデオ鑑賞が楽しめる程度の、少し大きめの液晶テレビが・・・、欲しい。