心地よく,丸め込まれる。
神戸から淡路に帰る高速バスは、ほぼ1時間に一便。
バス会社を選ばなければ30分おきに出てはいるけれど、何しろ結構な運賃なので定期か回数券を買って往復割引の恩恵を受けるなら同系統のバスになるので、その一時間を待つことになる。
バスの待ち時間にすることといえば・・・、
帰ったところで急ぐ用事もない時は、いっそ、映画を見る。
好都合なことに、バスターミナルのあるミント神戸の上層階にシネマコンプレックスがあるのです。
時間がそこそこある場合は、三宮駅周辺のスターバックスかドトール・コーヒーまたはサンマルク・カフェで、本を読んだり、パソコンを開いてデータ整理などして時間を過ごします。
さらに、15分とか20分しか時間がない時はバスターミナルから程近いジュンク堂でサクッと本を物色します。(たいていは立ち読みで引き上げるのですが)
村上春樹氏の本「走ることについて語る時に僕の語ること」という変なタイトルの本が目に入ったのでちょいと立ち読み。
しかし、読み進めて行くうちに、あまりに目からうろこがぼろぼろと落ちて仕方がなかったので、珍しくそのまま棚に戻さず連れて帰りました。
この本の変な長いタイトルは、彼の敬愛するレイモンド・カーバーの短編集のタイトルをもじったもののようですが、このやり方からして村上春樹という人は「商売人だねぇ,上手いなぁ」と言う印象。
丸め込まれてはなるまいぞ、と自分にいい聞かせながら帰りの高速バスの中で続きを読み始めれば、なんと足腰の脆いこと。ころりと手なずけられてすっかり引き込まれてしまいました。
ノーベル文学賞に最も近い日本人作家と目される超売れっ子小説家の、バックボーンというか心身の体幹をしっかり支えているのが「ひたすら走る」ことだったことに納得。
読みやすく洒落た文体は、ちょうど1キロを5分30秒くらいのペースで約一時間、10キロちょっとを走ったような爽快な読後感がありました。
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