さよなら、ワイエスさん
先週末、アメリカの片田舎の風景や人物、静物を数多く描いたアメリカン・リアリズムの画家、アンドリュー・ワイエスが亡くなられたことを新聞で知りました。
享年91歳だったそうです。
代表作「クリスティーナの世界」はあまりにも有名で、多くの人がその作品を目にして強いインパクトを感じとられたことと思います。
僕もその昔、彼が描くラフなタッチながらリアルな描写のごくありふれた静物画に強く惹かれました。
対象物を徹底的に観察して、写真のように精緻に描いたそれらの作品を画集で観て、当時流行ったスーパーリアル・イラストの技法で静物や人物を描いていました。
おそろしく時間をかけて写真のように描くのであれば、写真で良いのではないかと疑問にも思ったものです。つまり、絵のことも写真のことも、なんにも解っていなかったのですね。
以下は、ワイエス自身が語ったリアリティのついてのヒントとなる言葉です。
「カメラでリアリティを捉えられるとは思いません。単なるイメージに過ぎないのです。私にとってリアリティはそれ以上のものです。だから私は、カメラと私が求めているリアリティを比べてみようなんて一度も考えてみたことがないんです。」
ただお手軽に対象物を写し撮れるというだけで絵筆をカメラの持ち代える、その逆に時間と手間をかけただけで対象物の本質に迫れるのか、という迷いの答えがそこにあるように思います。
そういえば、「さよなら、エス・ワイさん」という歌がありましたが、某シンガーソング・ライターが書いたこの曲のイニシャル、S・Yさんとは吉永小百合さんのことらしいです。
このほとんど誰も知らない歌を口ずさみながら、当時のカルピスのコマーシャル写真に掲載された吉永小百合さんのポートレートをワイエス調に模写した学生時代を思い出します。
最後の写真は、ワイエスさんのご冥福を祈りつつ、ジャパニーズ・カントリー・リアリズムを目指す僕の、ワイエス調の作品「主の居ない野焼き」です。
やっぱり根っからのミーハーなのですかね。
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